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HEART & SOUL for daily English lessons

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2014年 10月 27日

【授業日誌】メルマガで取り組みを紹介しました

先日、機会があり大手出版社が発行するメルマガに掲載を頂きました。今回はそれをご紹介したいと思います。なお、メルマガとは一部表現を変更していることをご了解ください。



1.数年に一度のchallengingな経験

 私は今年4月に3校目となる現在の勤務校に異動しました。前任校では、文
 部科学省研究指定の研究主任を2年務めました。新課程での英語の授業の実
 践的研究とCAN-DOリスト形式の到達目標作成が主な内容です。

 さて、同じ学校でもそれまで自分が担当していなかった学年の生徒たちを
 指導するのは困難が伴います。新たな学校で、新たな生徒たちと共に授業を
 するのはchallengingです。しかし、何年かに1度しかできない経験と捉え、
 前任校で取り組んだ授業をベースにアレンジを加え、授業を行い半年ほど
 経過したところです。
 

 2.座学中心からの活動中心へ

 最初に目指したのは講義型の授業を中心とした授業形態からの脱却でした。
 Readingではタスク・音読練習・言語活動を中心とした授業を行っています。
 私自身も極力英語で授業を行います。生徒も今までよりも格段に英語を使って
 何かをする時間が増えているはずです。説明に割く時間を生徒が活動し考える
 時間にしています。現在の授業手順は次の5点に集約されます。


 (A)表現を取り込むこと

 本文の句の意味を日本語で与え、該当するものを英文から探す活動
 (phrase hunt)を行っています。日本語から英語、英語から日本語、
 リピーティングなど、さまざまな方法を使って練習していきます。
 ライティングでは例文の暗唱活動も多く行います。

 (B)L・Rのタスクを通して内容を理解していくこと

 各レッスンの最後にある内容理解のためのタスクをハンドアウト化します。
 極力リスニングを先に行い、聞き取った内容が正しいかどうかを読み取る
 流れにしています。最近では、初見状態でタスクに取り組ませるようにしています。

 (C)ペアで協力しその場で提示された課題を解決すること

 机を移動させてペアで活動する場面を多く設定します。生徒たちが社会に出てから
 色々な人と関わることができるよう、ペアは機械的に隣合った二人で作ります。
 音読や発話の練習パートナーだけではなく、課題に対して一緒に解決を目指し、
 時には説得・交渉も行います。発表では、どちらか1人が発表すれば良いように
 するなど、ペアという枠組みを積極的に活用しています。また、発問の際は答えが
 1つとは限らない質問、文脈を読む問いをハントアウトとは別に用意しています。

 (D)教科書を音読できるよう練習すること

 いきなり初見で音読させることもありますが、オーバーラッピングやリピー
 ティングなどの手法を織り交ぜながら時間をかけて練習します。オーバー
 ラッピングの際にはiPadのアプリを活用し、必要に応じてCDのスピードを
 変化させながら行っています。

 (E)学習語句・文章を使った表現活動や要約を行う

 習った語句を使い自己表現をする活動やキーワードを用いた要約活動を
 各セクションの仕上げのタスクとして行っています。既習表現を使う活動
 では文脈を意識させるため、その表現を含む表現+1文で言うように指導
 しています。要約活動では準備のために英文を書いて来ても良いが、発表の
 際にはキーワードのみを見て英語を話させるようにします。

 (F)音が先、文字は後
 活動に取り組ませる時の指針です。音声を伴う活動(L・S)を先に行い、
 その後に文字を伴う活動(R・W)で進められるよう授業内の活動を
 コントロールしています。


 3.生徒が持続的学習活動に向かうために

 個人的に授業以上に重視しているのが「振り返り」と「カウンセリング」です。
 定期考査やGTECが終わったあとに振り返りを行っています。前任校で行っていた
 ことですが、現任校で3年次担当者にワークシートを見せると「これいいね」と
 いう話になり、現在では年次全体で行っています。
 
 概略は、定期考査の設問別得点と到達度の記入(出題の狙いはワークシートに
 載せてある)、考査までの学習行動のチェックリスト、今後の英語学習に
 向けてのコメントの3部構成です。私は全てに目を通し、簡単にでも何らかの
 コメントを返すようにしています。「◯◯ができなかった」という生徒のコメ
 ントの羅列になってしまうので、肯定できる面もしっかり書くことを強調して
 います。

 ビジネスの世界でいうPDCAサイクルです。P・C・Aはこの一連の流れの中で
 出来ているので、生徒がDの部分を実行に移せるかどうかが鍵を握っていると思います。
 カウンセリングについては、思うように英語の成績(得点)が上がらない生徒に
 対して希望者に行なっています。先日のマーク模試直後は、数名の生徒が学習の
 方針を確認するために職員室の私のところまで来てくれていました。自己採点済の
 模範解答を見ながら、問題を解く過程を確認し今後の学習指針を伝えています。

 
 4.半年経過しての生徒の様子

 最初は当然ながら今までとのスタイルの違いに戸惑う生徒が多くいました。しかし、
 9月に全校で実施した授業評価では、教員も生徒も英語を部分的に使う授業形態に
 対し、好意的な意見がほとんどを占めました。正直驚くとともにホッとしました。
 英語を使って表現する活動にチャレンジしてみたいという意欲的な声も多くことに
 対し肯定的に捉える生徒が予想以上に多くいました。

 8月に行ったGTECでも、予想以上のスピードで生徒たちが英語力を伸ばしている
 ことが裏付けられ安心しています。今後は大学入試に向け英語力にさらに磨きを
 掛ける段階に入ります。この段階では「自分の答えの根拠を他者に説明することが
 できる」ということを狙った活動を組み入れながら指導していきたいと考えています。

(引用ここまで)


by jacques_southhill | 2014-10-27 23:53 | 日々の営み(授業)


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